GTM戦略その4 : Bow-tieモデルとは?顧客獲得から継続・拡張までをつなぐ成長の仕組み
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企業が持続的に成長するためには、新しい顧客を獲得するだけでなく、獲得した顧客に価値を届け続け、関係を深めていくことが重要です。
しかし、マーケティングや営業の活動は新規顧客の獲得に集中しがちです。受注後の顧客体験や継続利用、さらなる価値の拡張までを、一貫した仕組みとして設計できている企業は、必ずしも多くありません。
こうした顧客獲得から継続・拡張までの全体像を理解するために役立つのが、Bow-tie(ボウタイ)モデルです。
今回は、GTM(Go-To-Market)戦略を考えるうえで重要なBow-tieモデルの基本と、その実務への活かし方を紹介します。
1. Bow-tieモデルとは?
Bow-tieモデルとは、顧客との関係を新規獲得から継続・拡張まで、一連の流れとして捉えるフレームワークです。
その名称は、全体の形が蝶ネクタイ(Bow-tie)に似ていることに由来します。
従来の営業ファネルでは、見込み顧客の認知から商談、受注までを中心に考えてきました。一方、Bow-tieモデルでは、受注をゴールではなく、顧客との継続的な関係が始まる通過点として位置づけます。
大きく分けると、次の3つの領域で構成されます。
- 顧客獲得(左側): 認知、教育、選定を経て、新規顧客を獲得する
- 受注(中央): 顧客が導入を決定し、契約する
- 継続・拡張(右側): 導入、定着を通じて、継続利用や利用拡大につなげる
特にSaaSなどのサブスクリプション型ビジネスでは、契約後も顧客との関係が続くため、この右側の活動が重要になります。
2. なぜGTM戦略でBow-tieモデルが重要なのか?
GTM戦略は、製品やサービスをどの市場の、どの顧客に、どのような価値として届け、持続的な成長につなげるかを設計するものです。
そのため、新規顧客の獲得だけを最適化しても、十分とは言えません。
例えば、新規契約数が順調に増えていても、顧客が製品を十分に活用できず、解約が増えてしまえば、持続的な成長は難しくなります。
逆に、導入した顧客が成果を実感し、利用部門や利用範囲が広がっていけば、既存顧客との関係を通じて新たな成長機会が生まれます。
Bow-tieモデルの重要な点は、こうした新規獲得と既存顧客の継続・拡張を、一つのGTM戦略として捉えられることにあります。
3. ランドとエクスパンドは「別のゲーム」
Bow-tieモデルを実務で活用する際、理解しておきたいのが「ランド(Land)」と「エクスパンド(Expand)」の違いです。
ランドとは、新しい顧客を獲得し、初めて製品やサービスを導入してもらうことです。
ここでは、顧客課題の理解、競合との差別化、導入価値の説明、意思決定者との合意形成などが重要になります。
一方、エクスパンドとは、すでに導入している顧客に対して、利用範囲を広げたり、別の部門へ展開したりすることです。
エクスパンドでは、導入効果の可視化、成功事例の共有、追加利用によって生まれる価値の説明などが求められます。
つまり、ランドとエクスパンドでは、関係者も、意思決定の基準も、必要な活動も異なります。
両者を同じ営業プロセスやKPIで管理するのではなく、それぞれの特徴に合わせて設計することが重要です。
4. Bow-tieモデルを実務に活かすには?
Bow-tieモデルは、顧客ライフサイクルを図で理解するだけでは十分ではありません。
実際のGTM戦略に活かすためには、各段階の活動や成果を可視化し、改善につなげる必要があります。
例えば、新規獲得では案件創出数、受注率、営業サイクル、獲得した売上などを確認します。
一方、受注後は導入状況、利用定着、継続率、既存顧客からの拡張した売上などを確認します。
また、マーケティング、営業、カスタマーサクセスが、それぞれの段階で何を担うのかを明確にすることも欠かせません。
大切なのは、顧客がどこで止まり、どこで価値を実感し、どのように次の成長へつながっているのかを、全体として把握することです。
5. 受注をゴールではなく、成長の起点として捉える
Bow-tieモデルは、顧客獲得から継続・拡張までを一貫して捉えるためのフレームワークです。
新規顧客を獲得することは重要ですが、それだけでは持続的な成長は実現できません。
獲得した顧客に価値を届け、その成果を継続・拡張につなげる。そして、そこで得られた知見を次の顧客獲得にも活かしていく。
こうした循環をつくることが、再現性ある成長を実現するGTM戦略の重要な役割です。
詳しく知りたい方へ
Bow-tieモデルの考え方や、ランド・エクスパンドの設計、営業プロセスの可視化、マーケティング・営業・カスタマーサクセスをつなぐGTM戦略については、拙著でも体系的に解説しています。
『再現性ある成長のつくり方 ― 「売れる仕組み」を一気通貫で設計するGTM戦略』
藤原茂晴 著/クロスメディア・パブリッシング